歯磨き粉マニアの歯医者が教える正しい歯磨き粉の選び方とおすすめ7選

歯磨き粉マニアの歯医者が考える正しい歯磨き粉の選び方とおすすめ7選

歯磨きをするとき歯磨き粉を使っていますか?
ほとんどの方がはいと答えるのではないでしょうか。

ではその歯磨き粉は何の目的で使っていますか?それはどのような基準で選びましたか?
「ずっと使っているから」とか「TVCMでよく見るから」など、おそらく深くは考えてはいない方が多いと思います。

歯磨きは毎日おこなうものですからできれば自分にとって有意義なものにしたいものです。
歯のプロの見地から正しい歯みがき粉の選び方と厳選した7つの歯磨き粉をご紹介します。

勘違いしがちな歯磨き粉による実際の効果

虫歯予防の効果:大変期待できる

有効成分①フッ素:フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなど
歯垢中の細菌が日々の食事を餌にして酸を出し歯の表面のエナメル質を破壊するのが虫歯です。

学術的な研究において唯一虫歯予防効果が認められているのがフッ素です。

WHO(世界保健機構)の報告(WHO Technical Report No.846, 1994)によれば「1,000ppm 以上のフッ化物イオン濃度では、500ppm 高くなるごとに 6%のう蝕予防効果の上昇がみられることは疑いのない事実」と明記されています。
なお、2017年3月17日、厚労省はこれまでフッ化物配合の薬用歯磨きの含有基準が1000ppmであったのを、1500ppmまで認めたとのニュースがありました。国際基準に合わせた規制緩和のようです。ただし6歳未満への使用は控えるべきとの注意が新たに付け加えられました。

フッ素は歯垢による酸の産出を抑制し修復(再石灰化)を促進するだけでなく、歯の表面をより酸に強い構造に変えてる作用があります。

有効成分②ミネラル:リン酸カルシウム、TCP-APP(リカルデント)、マグネシウムなど

歯の再石灰化にはミネラルが必要です。

通常は唾液に必要な成分が含まれているため自然に再石灰化が起こりますが、ミネラルが不足すると再石灰化ができず虫歯になります。

そこで不足しているミネラルを直接補ってやることで虫歯予防効果が期待できます。

歯を白くする・ホワイトニング効果:まあまあ期待できる

日々の食事によって歯の表面にはどうしても着色汚れがついてきますが、歯磨き粉には研磨剤が含まれているため一定の着色を落とす効果は当然あります。ホワイトニング歯磨き粉と謳われているものは通常この着色除去成分を強化配合しているものをいいます。

ただし、研磨作用が強すぎると表面のエナメル質を削ってしまったり歯茎を傷つけたりする危険性があり、逆に着色しやすくなったり、知覚過敏の原因となったりしますので注意が必要です。

また、長年に渡る頑固な着色や歯の内部の着色は歯磨き粉では落とすことができませんので、より白くしたい方には歯科医院のホワイトニングをおすすめします。

「研磨剤」と「清掃剤」の違いは?

最近では「研磨剤」と書くとイメージが悪いためか「清掃剤」と称している場合も少なくありませんがどちらも同じです。下記の成分が該当します。

主な研磨剤:炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、無水ケイ酸(シリカ)

知覚過敏予防の効果:まあまあ期待できる

知覚過敏は歯の表面のエナメル質の内側にある象牙質に直接刺激が加わることで起こります。

多くは磨きすぎや歯ぎしりによりエナメル質が削れたり歯茎が下がったりして内部の象牙質が露出することが原因です。

硝酸カリウム乳酸アルミニウムといった成分は外部からの刺激に対して一時的にバリアを作ってくれるため染みにくくなります。

またエナメル質と同じ成分であるハイドロキシアパタイトも表面もコーティングすることで知覚過敏に効果があると言われています。

歯周病に対する効果:ほぼ期待できない

歯周病は細菌による感染症ですので歯周病を治療するにはこの細菌を除去しなければなりません。

歯周病用歯磨き粉には塩化セチルピリジニウム(CPC)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)といった殺菌作用のある成分が配合されていますが、歯周病の原因菌はバイオフィルムという防御膜に覆われており更にその多くは歯ブラシの届かない歯周ポケットの奥にいるため基本的に除去する効果はほとんどありません。

歯周病によっておこった炎症を若干緩和してくれることもありますが決して治療することはできません。
歯周病を治療するには歯科医院で徹底的な除菌を行う必要があります。

ただし、日々口腔内を殺菌することにより一定の歯周病予防効果は見込めるかもしれません。

口臭に対する効果:期待できない

ひどい口臭の原因は多くは歯周病によるものです。

従って、そのような口臭をなくすためには歯周病の治療が必要となりますが、上述の通り歯磨きで歯周病を治療することはできないので口臭を改善する効果は期待ができません。

歯科医師が考える歯磨き粉選び3つのポイント

歯医者さんで売っている製品の多くはここで紹介する条件を満たしています。おそらくご自分で成分などを見て判断するのはなかなか難しいと思いますので、基本的には歯科医院専売品を選ばれるといいでしょう。

有効成分を確認する

虫歯予防のための効果がほぼ唯一実証されているのはフッ素であり配合濃度は高い方が有効です。濃度が950ppm以上のものがおすすめです。その他の成分はあくまで補助的なものとして考えて下さい。

低研磨のものを選ぶ

研磨作用によるエナメル質の削れや歯茎へのダメージのリスクが高いため歯の健康には低研磨のもがベターです。中には研磨剤不使用の商品もありません。

低発泡のものを選ぶ

市販の歯磨き粉には磨き心地を良くするために発泡剤やミントなどの清涼剤が添加されていることが多いので、歯磨きをすると多量の泡が出ます。泡がたくさん出ると気分的にきれいになったような良い気にさせるためですが発泡剤には何の効能もありません。

逆にきちんと磨けていないのに磨いた気になったり、泡が立ちすぎて歯磨き時間が短くなることによって磨き残しが出る可能性がありますので低発泡のものが良いでしょう。歯磨き粉を付けないで歯磨きをすることを勧める歯医者もいるほどです。

正しい歯磨き粉の使い方

歯磨き粉を多くつけすぎない

適切な量としては、歯ブラシの毛先1/3(小豆大)くらいを目安にすると良いでしょう。日本では毎日歯磨きをする人は全体の90%、毎日2回以上磨く人でも70%以上と歯磨きの回数は世界的に見ても多い方ですが、1回にかける時間が短いと言われています。口の中が唾液や泡でいっぱいになったら一旦吐き出すなどして最低でも3分間以上は磨きましょう。

力を入れすぎない

力を入れて磨けば磨くほど汚れがよく落ちると考えている人が多いようです。しかし強く押し当てると歯ブラシの毛先が寝てしまいかえって汚れがうまく落ちません。
また強い摩擦力によって歯の表面のエナメル質を削ってしまい知覚過敏や歯茎が下がる原因にもなります。

すすぎは最小限に

市販の歯磨き粉はすっきりしますが、口の中に残っているのは不快なもの。あまりおいしくもないのですぐにたっぷりの水で2回も3回も口をすすいでしまっていませんか?

歯磨き粉の中には磨き心地を良くするだけでなく、フッ素など歯に良い有効成分も配合されています。一昔前に比べると日本人が虫歯になる数は大きく減っていますが、それはフッ素配合の歯磨き粉が広く普及したのが一因だと考えられています。

こうした有効成分をしっかり歯に作用させるためには、歯磨き粉で磨いた直後はおちょこ1杯くらいの少量の水で1回だけすすぐくらいがベストです。気持ちが悪いようなら30分くらい我慢してから再度うがいをしましょう。

歯医者が教えるおすすめ歯磨き粉7選

ここに紹介するのは歯科医師の見地から上記のポイントをもとに選んだおすすめの歯磨き粉です。

歯科医院専売用でドラッグストアなどでは販売されていないものもありますが、最近ではインターネットや海外通販で購入することができます。

万人におすすめ!虫歯予防・歯周病予防・知覚過敏予防と三拍子揃った万能選手

リカルセンシティブ 70g(Ciメディカル)

虫歯予防★★★★★ (フッ素970ppm配合)
ホワイトニング効果★★★
低研磨性★★★★
価格★★★★ (1g当たり10.6円)

殺菌成分、塩化セチルピリジニウム(CPC)・イソプロピルメチルフェノール(IPMP)配合
硝酸カリウム、乳酸アルミニウムのダブル配合で知覚過敏予防
低研磨・低発泡
×若干着色料が入っているので使い続けると着色の可能性あり

虫歯予防の高濃度フッ素、知覚過敏予防成分、殺菌・消炎成分配合と三拍子揃っているのは他にはない特徴です。フッ素は970ppmと高濃度、殺菌成分IPMPはバイオフィルムの奥の細菌にも効果があるといわれています。ペーストタイプで、ちょっと珍しいオレンジミントの香味は強すぎず爽やかで長い時間磨けます。

知覚過敏予防成分の入っていない通常のリカルもおすすめ。こちらはジェルタイプで更に低研磨、マンゴー・アップル・ピーチなど香味も選べるのも楽しいです。ただしいずれも色味がついているので使いすぎると着色するというデメリットもあります。

歯医者さんの一押し!高濃度フッ素と多彩なフレーバーでお子様にもおすすめ

チェックアップジェル 60g(ライオン)

虫歯予防★★★★ (フッ素950ppm配合 ※バナナのみ500ppm)
ホワイトニング効果★
研磨剤無配合★★★★★
価格★★★★★(1g当たり8.3円)

※ミントのみ殺菌成分CPC配合
◎研磨剤無配合、ごく低発泡で有効成分が流れず留まりやすい
◎キシリトールの優しい甘みで豊富なフレーバーのラインアップ
×甘すぎて苦手という方もいるようです

多くの歯医者さんがおすすめする定番品。ジェルタイプで超低発泡。更に研磨剤は無配合で、ほどよいウェット感で快適な磨き心地です。歯磨き粉とは思えないようなおいしさで、甘すぎて心配になるほどですがキシリトールなので安心。フレーバーの種類も豊富でその日の気分によって味を変えるのも楽しいですね。お子様にもおすすめです。バナナのみフッ素濃度が低くなっているのでうがいができない小さなお子様にも使えます。

若干の研磨剤が入ったペーストタイプのチェックアップスタンダードという姉妹品もありますが、フレーバーはミントのみです。

歯周病予防の定番!さらに低研磨かつ発泡剤無配合でフッ素を効果的に作用

コンクールジェルコートF 90g(ウェルテック)

虫歯予防★★★★ (フッ素950ppm配合)
ホワイトニング効果★★
低研磨性★★★★
価格★★★★ (1g当たり10.1円)

◎発泡剤無配合、低研磨
◎歯周病に対する効果が唯一実証されている塩酸クロルヘキシジン配合
×使い続けていると着色します

こちらも歯医者さんのおすすめする定番品です。歯科医院専売品らしいシンプルで真面目なデザインが好印象。見た目だけでなく成分構成もシンプルで安心感があります。低研磨かつ発泡剤無配合で清涼感がありながら優しい香味でいつまでも磨いていられそうです。

無色透明ですが塩酸クロルヘキシジンの特性上、使い続けるとどうしても着色しますので研磨作用のある歯磨き粉との併用がおすすめです。ちなみにメーカーからそのためのクリーニング用歯磨き粉がセットで売り出されています。

塩酸クロルヘキシジンについて
学術的に唯一歯周病に対する効果が実証されていますが、日本では薬事法の関係で有効濃度で配合することができません。他の歯周病予防成分同様過度な期待は禁物です。うがい薬であるコンクールFも効果は同じです。

オーガニック志向の方にも!フッ素無配合ながら歯に必要なミネラルと程よい研磨性

ロックスホワイトニング 74g (R.O.C.S.)

虫歯予防★★★(フッ素は無配合)
ホワイトニング効果★★★★
低研磨性★★★
価格★★★(1g当たり14.7円)

◎歯の再石灰化に必要なミネラル(カルシウム・マグネシウム)配合
◎タンパク質除去酵素ブロメラインで歯石沈着予防
◎オーガニックな成分構成
ロシアからやってきた業界で注目の新星です。フッ素に対して抵抗がある方やオーガニック志向ユーザーに配慮してフッ素無配合ながらグリセロリン酸カルシウムや塩化マグネシウムといった歯の再石灰化に必要なミネラルを配合。

優しい研磨性ながらタンパク質分解酵素ブロメラインの効果で着色除去が期待できます。多彩なフレーバーやベビー用などラインナップも豊富です。海外製品らしいかわいいパッケージも魅力的です。

優しい研磨性ながらタンパク質分解酵素ブロメラインの効果で着色除去が期待できます。多彩なフレーバーやベビー用などラインナップも豊富です。海外製品らしいかわいいパッケージも魅力的です。

独自成分ナノサイズのハイドロキシアパタイトで他では得られないツルツル感

アパガードリナメル 120g ※50gもあります(サンギ)

虫歯予防★★★ (フッ素は無配合)
ホワイトニング効果★★★★
低研磨性★★★★
価格★★(1g当たり17.95円)

◎ナノサイズのハイドロキシアパタイトを高配合(虫歯予防や知覚過敏予防効果も期待できます)
歯のエナメル質と同じ成分であるハイドロキシアパタイトは通常研磨剤として歯磨き粉に添加されますがこちらはナノサイズにまで小さくすることで歯の表面の傷や隙間に入り込んでエナメル質を滑らかにしてくれます。ハイドロキシアパタイトを配合している製品は他にもありますが、ナノサイズでないと単なる研磨剤として作用するので注意が必要です。

歯の表面が滑らかになることで着色や歯垢が着きにくくなるので結果として虫歯予防効果も期待できます。
歯科専売品のリナメルは市販のプレミオなどと比べてハイドロキシナノアパタイトが2倍。より効果が実感できると思います。ちなみに市販品の4倍配合された「リナメルトリートメントペースト」という製品もありますが値段は定価でなんと3,500円ほどにもなります。

歯科医もすすめるホワイトニング歯磨き粉!1週間に1回程度の使用でOK

ブリリアントモア  90g(ライオン

虫歯予防★★★★ (フッ素950ppm配合)
ホワイトニング効果★★★★
低研磨性★
価格★★★★★ (1g当たり9.7円)

◎粒子が粗めの研磨剤(無水ケイ酸)で高い研磨性
◎ピロリン酸ナトリウム配合で効果的に着色を除去
×研磨性が強いため使用には注意が必要

高い研磨性とイオンの力で汚れを浮かせるピロリン酸ナトリウムの効果で効率的に着色を除去します。この手の歯磨き粉には珍しく高濃度フッ素が配合されている点もおすすめです。

舌で触れてわかるくらいにザラザラしており着色汚れが落ちるのがかなり実感できますが、その分エナメル質や歯茎へのダメージには注意が必要です。多くても週に1回くらいで意識して優しく磨きましょう。

ホワイトニング先進国アメリカで人気のホワイトニング歯磨き粉!業界関係者も愛用

スーパースマイル 50g ※119gもあります (SUPERSMILE)

虫歯予防★★★★★(フッ素950ppm以上配合)
ホワイトニング効果★★★★(アクセラレーターは★★★★★)
低研磨性★★★
価格★ (1g当たり32.6円)

◎独自成分カルプロックスで着色を効率的に分解
◎重曹・炭酸カルシウムなど数種類の研磨成分を配合
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも補給
×逆に使用後着色しやすくなる可能性あり

全米でもトップクラスの評価を受けているホワイトニング歯磨き粉です。ハリウッドスターや著名人に愛用者が多く日本でも審美歯科業界関係者がおすすめしています。

特徴は高い着色除去作用を持ちながら粒が細かく強い研磨性を感じないところ。それでいて各種ミネラルや高濃度フッ素(本国では1400ppmですが、日本では薬事法の関係で950~999ppm)を配合しています。

ただ独自成分カルプロックスが着色汚れを歯の表面を守っている薄膜ごと分解するとのことで、歯科医院でのホワイトニング後同様使用後しばらくは着色しやすくなる可能性がありますのご注意ください。

スーパースマイルには過酸化物(漂白作用があり日本の製品には法律上使用できない)を含むアクセラレーターがセットになった商品もあります。非常に高額ですが歯科医院のホワイトニングと同様の効果が見込めます。※漂白成分はアクセラレーターの方に配合されており歯磨き粉本体には漂白作用はありませんのでご注意ください。

まとめ

フッ素に代表されるように歯磨き粉には歯をとって有益な効果が期待できますが、虫歯や歯周病から歯を守るためには原因となる歯垢を歯ブラシでしっかり落とすことが最重要です。そのために毎日の歯磨きが楽しくなるようなものを選ぶのも大事なことです。

歯磨き粉と言えばミントの清涼感が思い浮かびますが最近では様々な香味のものが揃っていますので、目的やその日の気分によって色々使い分けてみるのもおすすめです。

歯磨き粉は上手に選べばあなたの歯を守る手助けをしてくれます。しっかりと自分に合った効能のあるものを選びましょう。

⇒歯のホワイトニングについて詳しく知りたい方はまとめページここを見ればホワイトニングの全てがわかる!をご覧ください。

ホワイトニング

 

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田井 寿一歯科医師 医療法人社団百星会 理事長

投稿者プロフィール

【ホワイトニング専門歯科クリニック】スターホワイトニング総院長
2014年 東京医科歯科大学卒

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